生物機能科学コース

原島・浴野研究室

ゲノム工学、タンパク質工学による新規微生物機能の創成と応用

当研究室では酵母や放線菌、バチルス属細菌などを利用し、ゲノム工学や農業利用可能な微生物の探索を行っています。

1. ゲノム工学を駆使して新しい微生物(酵母)を創る

ゲノム工学は、近年発展してきた生命科学分野における新しい技術です。ゲノムを大規模に操作できること、従って、多数の遺伝子を同時に操作できることから、ゲノム機能の理解だけでなく、微生物の育種分野にも、これまでできなかったことを可能にする革新的な技術として期待されています。基礎生命科学とバイオテクノロジーの両方を推進する「研究推進エンジン」と言っても過言ではないでしょう。  この考えのもと、私達の研究室では、酵母を材料として、以下の1から3を目的に基礎、応用研究をバランスよく推進しています。


  1. ゲノムを自在に操作できる多様なゲノム工学技術の開発(育種技術の開発)
  2. ゲノム工学技術を駆使したストレス耐性機構の解明(育種理論の確立)
  3. 実際にバイオテクノロジーで使える酵母菌の育種(工業生産株の創成)

2.微生物がつくる生理活性タンパク質

Bacillus thuringiensis (BT)は顕微鏡で観察できるほどの結晶性のタンパク質(写真のP)をつくります。この中には、昆虫を殺す毒素をつくっているものがあり、農作物に害を及ぼす昆虫に対する安全性の高い生物農薬として利用されています。これまでBT菌の研究は主に、殺虫活性のある結晶性タンパク質を中心に行われてきました。しかしながら、その他にもさまざまな生理活性タンパク質を作っていることが近年になってわかってきました。以下の生理活性タンパク質について研究しています。

  1. 植物病原菌に対する抗菌タンパク質
  2. 培養がん細胞に対する細胞損傷タンパク質(parasporin)



ジャガイモそうか病を引き起こす病原菌に対する抗菌タンパク質による生育阻害(左上は対照実験)


ヒトの子宮がん細胞HeLa細胞にParasporinを加えた時の形態の変化。細胞が膨張し、死滅していきます

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