生物機能科学研究室

安藤研究室

微生物、昆虫、ヒトまで、多彩なタンパク質の機能をさぐり、活かす!

微生物・昆虫(カイコなど)・ヒトがもつ有用タンパク質の探索、構造-機能相関および応用に関する研究を行っています。食用キノコの大部分は担子菌類に属していますが、糸状の菌糸から傘状のキノコ(子実体)がどうやってできるのか、依然不明点が多くあります。私たちは子実体で特異的につくられるタンパク質の機能解明とその応用を目指しています。一方、ヒトの毛髪を形成するタンパク質についても研究を行っています。毛髪の主要なタンパク質について、その機能と毛髪疾患(毛が生えなかったり、毛髪の形状が異常な疾患)との関連性を解析しています。昆虫やヒトの体内には、受容体と呼ばれるタンパク質が存在し、様々な情報を伝達したり、生理機能を調節したりしています。私たちは、受容体の構造や機能を調べる研究、また、受容体に作用する化合物(農薬候補物質、食品成分など)を探索し、その作用機構を調べる研究も進めています。

教授:安藤 祥司
准教授:太田 広人

1. 食用キノコの研究

食用キノコは生活習慣病の予防効果が期待されるなど、機能性食品として注目されています。食用キノコの多くは担子菌類に属し、その本体は細胞が直列に連結した糸状の菌糸です。しかし環境の変化に応じて、菌糸から傘状の子実体(いわゆるキノコ)を形成します。しかしこのドラマチックな変貌のしくみは、まだよくわかっていません。私たちは、菌糸から子実体を形成する際に、どんなタンパク質が働いているのか解析を行っています。この研究成果は、キノコの栽培方法の改善や、新しいタンパク質性医薬品や機能性素材の開発などに生かされます。


子実体


菌糸


2.毛髪タンパク質の研究

毛は、生物進化において哺乳類の誕生にともなって生じました。特にヒトの毛髪は、体を保護するほかに、ヒトの生活や文化とも密接に関わっています。しかし、毛髪がどのようにしてつくられるのか、まだよくわかっていません。また、毛髪が生えない疾患や、毛髪の形状が異常で切れやすい疾患などがなぜ起きるのかも、よくわかっていません。私たちは、毛髪に含まれている種々のタンパク質を試験管内や培養細胞内でつくって、その機能解析を行うことによって、毛髪形成のメカニズムや毛髪疾患の発症機序を解明しようとしています。


毛髪タンパク質ヘアケラチンの培養細胞内での機能解析


3.昆虫の受容体研究と応用

昆虫はヒトよりはるかに小さな生き物ですが、その体の中には立派な脳や神経系が存在します。昆虫の生理機能や行動は、この脳や神経系のはたらきによって精巧に調節されています。私たちは、昆虫の脳や神経系の中ではたらく重要なタンパク質である「受容体」に注目し、受容体タンパク質を培養細胞で再現し、その構造と機能を解明する研究を進めています。また、再現した受容体に対して、将来農薬になり得るような化合物を作用させ、その構造と活性の相関を調べる研究もおこなっています。このような研究を通じて、安心・安全で環境にも配慮した次世代の農薬開発に役立てたいと考えています。 他に、昆虫の摂食行動・食欲に関する研究もおこなっています。摂食行動・食欲の調節にも、脳や神経系、その中の受容体が大きく関わっています。私たちは食欲旺盛なカイコの幼虫を使って、摂食行動や食欲を制御している神経受容体の機能解明に挑んでいます。この成果は、基礎的に重要であるだけでなく、シルク蚕業を支える新しい人工飼料の開発にも役立つと考えています。


昆虫の脳に存在するチラミン受容体の構造


食欲旺盛なカイコの幼虫


4.ヒトの受容体研究と応用

ヒトの体の中にも多種多様な受容体が存在しています。受容体は医薬品の標的として利用されているほか、機能性食品成分のターゲット分子としても近年注目が集まってきています。超高齢化社会を見据え、私たちは、「未病(大病を患う前の病気リスクが高い状態)」の改善につながる食品成分の探索や、受容体を介した新しい作用機構の解明に挑んでいます。具体的には、骨の強化、アレルギー症状の緩和、胃腸機能の改善と食欲増進につながるような、大豆や発酵食品由来の健康機能成分の研究を進めています。この研究を通じて、伝統的な日本食には未病を改善する力があることを証明したいと考えています。


抗アレルギー食品成分のスクリーニング


発酵食品の食欲増進メカニズム

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